データの考え方
JapanTracker は、一つの巨大な記事ではなく、複数の種類のデータを組み合わせて政治と社会を記録します。
複数の要素を並列に持つ
record、case、person、organization、mediaCoverage、statistics、問い、audit / provenance などを、それぞれ異なる役割を持つ要素として扱います。どれか一つを唯一の中心機能とは位置づけません。
record
record は「誰が・いつ・何をしたか」を、日付と出典とともに残す最小の事実単位です。後から機械が再利用しやすく、別の case や人物・組織からも参照できる形を優先します。
case
case は意味のある record のまとまりです。単発事故、長期政策、選挙、制度改正など、粒度は固定しません。「このまとまりで追うと理解しやすい」ことを優先します。日本語の画面では、このまとまりの中で何が起きてきたかを読む場所であることから「経緯」と表示します。
case の型を細かく分類したり、case 同士の parent / related などの関係を網羅的に保守したりはしません。必要な関連は共通する record、actor、検索語、問い などから導出できる状態を優先します。
statistics
statistics は record と同じく、判断材料となる第一級のデータです。件数だけでは見えない規模、頻度、推移、分母を扱うために使います。
統計を読むときは、人口比、過去との変化、他国、他地域、他属性、他制度など、そのテーマで意味のある比較軸を探します。比較軸を全テーマ共通の一つのルールには固定しません。
JapanTracker 自身がランキングや価値評価を作ることと、事実を理解するために複数の統計や条件を比較することは別です。比較そのものは禁止せず、何を分母・比較対象にしたかが分かる形を優先します。
出典
出典は必ず残し、可能な場合は一次情報を優先します。ただし、社会でどのような認知や議論が存在するかを知るには、新聞、テレビ、SNS、Community Notes、世論調査など二次的な情報も必要です。
mediaCoverage
mediaCoverage は各報道機関がその case をいつ、どのように報じたかを残す材料です。case によっては数百件、数千件規模になることも許容し、可能な範囲で厚く収集します。
報道件数、初報までの時間、報道の継続性などは、条件がそろえば観測・比較できるデータです。ただし、その数字だけから媒体の良し悪しや偏向を評価しません。
mediaCoverage の比較では、何を見つけたかと同じくらい、どこまで探したかを重要なデータとして扱います。 何を探したか、検索語、対象媒体、対象期間、収集方法、見ていない範囲などを sweep として残します。探索範囲が異なる集合を、同じ条件で網羅した数字のように扱いません。
sweep は探索の手続きです。その結果として何を確認できたか、または確認できなかったかは coverageObservation として分けて残します。ある媒体の記事が見つからなかったことだけで、「その媒体は報じなかった」とは判断しません。「記載した探索条件では確認できなかった」という観測として、その条件と一緒に公開・利用します。
mediaCoverage は 問い の根拠になり得ますが、それだけを特別扱いしません。record、case、statistics、person、organization などと同じく、問いを考える材料の一つです。
網羅を装わない
データが存在しないことは、現実に何も起きなかったことを意味しません。比較対象を探す努力はしますが、完全な対称性や網羅性を保証しません。何をどのように探したかは audit / provenance に残し、探索の範囲そのものを検証可能にします。